nananashinaの日記

禁欲・禁酒で人生を立て直す

リセット 飲酒ブログ

送別会に参加し、飲む。
送られる方も送る方も飲まざるを得ない。

僕も飲んだ。
リセットだ。

久しぶりの酒は懐かしかった。
懐かしい快感と不快感があった。
アセトアルデヒドがまた身体中に回っていく。
そいつらは街という街に火をつけ、善良な住民達をコロコロして回る。
テロリストというより、虐殺者達だ。

こんな奴らの入国を認めたのは僕だった。
懐かしい彼らは僕の姿を見ると、まるでずっと昔からの友達だったみたいにフランクに振る舞い、ハグした。
そして僕に根拠のない多幸感や鎮静感、高揚感を与えてくれる。
そして僕たちの国を焼き尽くそうとする。

何杯飲んだだろう?
矢継ぎ早に注がれるビールを飲み、ビールが飽きればカクテルを飲み、最後に熱燗を飲んだ。
飲めば飲むほど冷静になったように感じ、実際はその正反対の様相を見せる。

気付けば酩酊。
不快感、吐き気、度を超えた満腹感、頭痛。
街は焼き尽くされ、あらゆるものが汚染され、治安が最低ラインを割る。

目の前の2メートルくらいが世界の全てになる。
悪い人に連れられ夜の街に行き、気が付いたときにはなぜか女性の太ももとニーソックスの隙間に欲望を挿入していて3秒後には白濁を射出している。

その瞬間に嗅覚が復活し、周りの酷い臭いに気付かされる。
まがつた鉄砲玉のやうに僕はトイレに走りこむ。

アセトアルデヒドたちが少しずつ分解されていく。
僕は駅をホームでこんな文章を書く。
小さな癌を身体中に発生させながら。
ただ、それらは普通なら免疫系によって駆除される。
ただし、アルコールによって免疫力が下がっている場合は別だ。
小さな癌はそこに根を張り、少しずつ成長していく。
いつしかその周辺組織の機能を奪っていく。

僕は妄想する。

酒とタバコを愛する一人のおっさんが癌で倒れる。

2ヶ月間入院し、点々と存在する癌に放射線が照射される。
しかし癌は既に身体中に転移していて、なす術もなくなり、おっさんは退院する。

ここまでくると、医者は酒もタバコもいいんだ、と言う。
好きなだけやってくれ、と言う。

おっさんは震える手でタバコを吸い、2015年のインターネットを見る。

ノスタルジー。
それはGoogleの有料サービスの名前だ。
Googleがインターネット上にばら撒いた情報収集ロボットは、その全ての記憶を年代別にアーカイブしている。

2015.12.01のインターネット
2015.12.02のインターネット

それらは膨大な馬鹿げたデータに感じられ、維持も管理も無駄だと思われるかもしれない。
でも、実際は全て差分に過ぎず、大したデータ量ではない。

例えば今日のあなたを定義するために全ての物質を再現する必要はない。
昨日のあなたにちょっと足すか引くかすればよい。

ちょっと足しすぎて、あるいは、引きすぎて、おっさんはおっさんになった。
アルコールのせいでぼろぼろになった肝臓はまるで掘り出されて枯れた木の根っこみたいに見える。

2015年のおっさんの痕跡がインターネットにある。

まだ元気で生意気なことばかり書いている。
どんなに疲れても、一晩寝れば全て回復する。
そんなゲームみたいなドラクエみたいな生活が人生だと勘違いしている。

窓の外はいつも明るいと勘違いしている。

耳の根元がズキズキと痛む。
免疫系に癌が転移していると医者は言っていた。
なんのことだか、さっぱりわからないが。

思い出。木造の校舎。あの子の笑顔。
でもそれは本当に自分の記憶なのだろうか?

インターバルにコカコーラを飲みながらラブホの窓から外を見ると、遠くの山に複数のライトの点滅が見えた。
あれは何、と彼女に聞くと、あれは原発だよ、と言う。

あれがパカパカ点滅している間は問題なく稼働しているらしいよ。

この街の人たちは、昼夜、あのライトを気にしている。
あれが消えたとき、急いでクスリを飲まないといけないのだ。

僕は定期的な点滅を繰り返す、そのライトをぼんやりと眺めている。

でも、これも、本当に自分の記憶なのか?

心拍モニターが点滅する。
その横に3種類の数列があり、最高血圧最低血圧、想定残寿命だ。

最後の数列はショッキングな内容であり、マスクして不可視状態にする人も多い。
僕はちゃんと見る。
度胸があるというより、もともとの信憑性を疑っている。

想定残寿命は身体のコンディションによって著しく変動する。
タバコを吸った日にはマイナス側へ振り切った時もある。

あなたは後マイナス3日で死にます。

すなわち、もう死んで3日経っている。

デッドマン。
特にこれらの話にはオチもテーマも何もなく、僕は電車に乗り込む。

かすかに精液の匂いがして、僕は再び気分が悪くなる。