nananashinaの日記

禁欲・禁酒で人生を立て直す

日報13日目 溶けて消えていく座標

最近の現実逃避ネタは『宇宙』である。

 

例えば、自分の位置をどう定義するかという問題がある。

 

もちろん、

『日本の○○県○○市の株式会社○○の応接102号室にいます』

と言うのは間違いではない。というか、細かすぎるくらいである。

 

でも、宇宙規模で考えると不親切である。

 

まず、日本って何、と言われるに決まっている。

 

「あ、すみません。日本ってのは地球の中の国なんですよ」

「地球? 地球ってどこにあるんですか?」

「えーっと、太陽系の中にあって、あ、太陽系ってのは、その、あの……」

 

「相対座標ではなく、絶対座標で言ってください」

絶対座標?

 

地球上なら、緯度・経度で表すことができるが、宇宙ではどうしたらいいのだろうか。

そもそも、僕たちの地球は常にぐんぐんと動いている。

 

僕たちの地球は太陽の周りを公転している。

そして太陽系もまた更に大きな『何か』の周りを公転している。

そしてその更に大きな『何か』も、更に大きな『何か』の周りを公転している。

そんな風にできた銀河系もまた更に大きな何かを中心に公転している『銀河系群』を構成しているに過ぎない。

 

虹の向こうに何があるのか。

虹の向こうには虹がある。

その向こうには何があるのか。もちろん、虹がある。

 

over the rainbow

over the rainbow over the rainbow over the rainbow over the rainbow ……

 

「めちゃくちゃどうでもいいんだけど」

と彼女は言った。つまらなそうに。

彼女はこういう話に全然興味がないのだ。

彼女は芸能界ネタや健康美容ネタや羽生結弦ネタくらいにしか興味がない。

宇宙とか数学とか物理とか全然どうでもいいのだ。

 

別に地球が公転してようが、宇宙の中心に地球があろうが、どっちでもいい。

 

そういうスタンス。僕はそのスタンスを否定はしない。

でも、実際には地球は同じところに止まってないのだし、そもそも太陽系自体がダイナミックに動いているのだし、そもそも宇宙自体がダイナミックに動いている可能性だってある。

 

新幹線の中で歩くことはできる。

地表から見たら、ものすごい勢いでその人は歩いている。

地球の表面にいると止まってみえる。

でも、定点観測すれば、めちゃくちゃな勢いで動いている。

 

その勢いで、座標というのは溶けてなくなる。

 

ものすごい勢いで動いてしまったが故にバターになった虎みたいに。

 

僕たちに絶対座標はない。

あるとしても、一秒後には溶けて消えてしまう。

 

「めちゃくちゃどうでもいい」

 

彼女はそう言い、まずそうにスープを飲む。

 

そして、彼女は絶対座標と共に溶けて消えていく。