日報18日目 ガストロンジャー
昔より思考力が落ちた。
理由は単純だ。考えなくなったからだ。
歩かなければ脚の筋肉は落ちていき、歩けなくなる。
頭も使わなければどんどん錆びていき、その内、考えられなくなる。
考えの浅い行動しか起こせず、周りの人に迷惑をかけ始める。
慌てて、焦り、より一層だめな方向へ舵を切ってしまう。
最近、とことんまで考えたことがあるだろうか?
なぜ、仕事が上手く回らないのか。
なぜ、あの人はいつも魅力的なのか。
なぜ、自分は悪手しか打てないのか。
なぜ、あの会社の製品にはファンがつくのか。
禁欲の果てには何があるのか。
色々とテーマを上げておいて、それらは全て横に置いておかれる。
自分にとって切実に考えたいテーマではないかもしれなかった。
餌を自ら作り、それを横に置き、しかしそれに食いつくことはしない。
そういう児戯はもう飽きたと言わんばかりに。
何一つとことんまで考えることをせず、考えたふりをして、疲れた疲れたとぼやく。
そんな最低な自分の姿に気づく。
そして、
『しかし人間はそのようにしか生きることができないのだった』
などと物知り顏で言う。悟ったような顔で。何も考えずに。
自分の頭で考えよう。歩こう。そうしないと歩けなくなる。考えられなくなる。
禁欲・禁酒18日。
暇が無いと欲も酒も選択肢として浮かび上がらない。
自虐的に言えば、仕事によって去勢されている。
それが良いのか悪いのかと問われれば、まあまあだと答えざるを得ないのが大いに不本意だ。